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本コンテンツは、全身型重症筋無力症の患者さんにソリリス®を投与する際に必要な事項・留意すべき事項を全てまとめたものです。ソリリス®の投与前から、投与中まで、段階ごとにまとめています。また、関連する資料も入手することができます。是非ご確認いただき、先生の日常診療にお役立ていただけますと幸いです。

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村井弘之先生

国際医療福祉大学医学部
神経内科学主任教授

今井富裕先生

札幌医科大学保健医療学部
大学院末梢神経筋障害学教授

今井富裕先生
札幌医科大学保健医療学部 大学院末梢神経筋障害学教授

監修者コメント:最後のコンテンツは、投与中の注意点です。「患者説明」のコンテンツとも重複しますが、投与中も引き続き、髄膜炎菌感染症の徴候に注意する必要があります。そして、髄膜炎菌感染症を発症した際の対処方法を理解しておく必要があります。事前に対処方法を確認し、もしもの場合に備えておくことが重要です。また、ソリリス®は投与開始後12週までに効果が見られない患者さんにそのまま漫然と投与してはならないことが、添付文書で規定されています。「対象患者の選択」のコンテンツでもふれた重症度を確認するスコアシートを活用し、ソリリス®の投与前後で評価し、有効症例かどうかを評価してください。

注意を要する髄膜炎菌感染症の初期症状

ソリリス®投与中は、髄膜炎菌感染症の初期症状に注意してください。
髄膜炎菌感染症では髄膜炎又は敗血症を発症し、急激に重症化し死亡に至ることがあるため、注意が必要です。また、髄膜炎菌感染症では、以下に示す初期徴候が認められることがあります。ソリリス®投与中は、これらの症状に注意して観察を十分に行ってください。

髄膜炎菌感染症が疑われる注意が必要な症状

初期症状は、以下のような一般的な風邪やインフルエンザの症状と区別がつきにくい場合があるので注意が必要です。
・発熱  ・頭痛  ・ 吐き気、嘔吐  ・ 筋肉の痛み

その他、髄膜炎菌感染症には以下のような症状があります。
・錯乱(混乱して考えがまとまらない、物事を理解できない)
・うなじのこわばり(首の後ろが硬直しあごを傾けられない)
・発疹、出血性皮疹
・光に対する過剰な感覚(光が異様にギラギラ輝いて見える、異常にまぶしく感じる等)
・手足の痛み

髄膜炎菌感染症の対処法

ソリリス®投与中に髄膜炎菌感染症が疑われた場合には、直ちに診察し、抗菌薬の投与等の適切な処置を行ってください。

髄膜炎菌感染症を発症した場合の治療方法について

髄膜炎菌感染症が疑われる場合あるいは否定できない場合には、「直ちに診察を受け、適切な抗菌薬による治療が必要であること」を患者さん又はご家族(又は介護者)に説明してください。
髄膜炎菌感染が疑われる場合あるいは否定できない場合には、十分に管理できる医師・医療機関のもとで、髄膜炎菌感染症の診断、治療に精通した医師との連携を取った上で治療にあたってください。

1)発症時の管理方法:
ソリリス®投与中に発熱等が認められ髄膜炎菌感染症が疑われる場合あるいは否定できない場合には、血液培養を含む必要最低限の検査を実施した後、起因菌の判明を待たずに髄膜炎菌を標的とした抗菌薬*1)を投与開始し、起因菌が判明した後に適切な抗菌薬に変更してください。また、侵襲性髄膜炎菌感染症の場合には感染症法に基づく届け出が必要です2)。抗菌薬使用後の血液・髄液培養では、原因菌の同定が困難な場合があることをご留意ください1)

①髄膜炎が示唆される身体所見(頭痛、項部硬直等)が認められない場合
発症時に症状が軽度であっても髄膜炎菌感染症を念頭に置いて必要な検査、早期の抗菌薬*治療が必要です。敗血症の徴候がある場合には、早期の抗菌薬*治療に加え「日本版敗血症診療ガイドライン2016」3)等を参考に適切な全身管理、補助療法を実施してください。

②髄膜炎が示唆される身体所見が認められる場合
脳圧亢進による脳ヘルニアの徴候がない場合には髄液検査を実施する等適切な検査、早期の抗菌薬*投与を含めた治療にあたってください1)

2)脳ヘルニアの徴候を認める髄膜炎、あるいは敗血症が示唆される場合には集中治療室(ICU)との連携が必要な場合があることを念頭に置いて治療にあたってください。

  • *細菌性髄膜炎診療ガイドライン2014では、第三世代セフェム系抗菌薬(例:セフォタキシム、セフトリアキソン等)の抗菌薬療法が推奨されています。
     セフォタキシム:2.0g・4~6時間毎に静注又は点滴静注(1日最大投与量12g、保険適用は4g)
     セフトリアキソン:2.0g・12時間毎に静注又は点滴静注(1日最大投与量4g)
    用法・用量については最新の添付文書を参照ください。

12週でソリリス®の効果が見られない場合

本剤の全身型重症筋無力症患者さんを対象とした臨床試験では、ほとんどの治療反応例で投与開始後12週までに症状の改善が得られました。全身型重症筋無力症患者さんで他の免疫抑制剤を併用している患者さんにおいては、髄膜炎菌感染症のリスクが高い可能性があることから、リスクベネフィットを考慮し、投与開始後12週までに症状の改善が認められない患者さんでは、本剤の投与中止を検討してください。

MG-ADL、QMG評価について

ソリリス®の投与後は、患者さんのMG-ADL、QMG(Quantitative MG)評価をお願いします。
MG-ADL及びQMGは質問紙を用いたMG重症度のスケーリングです。ソリリス®投与前後に評価することで、投与患者さんがソリリス®有効症例であるかを確認することが可能です。
有効性評価はソリリス®投与継続の要否を検討する一助となります。

具体的な評価方法は下記のパンフレット及び動画をご確認ください。

重症筋無力症における
MG-ADLスケール、QMGスコアの測定方法

髙橋 正紀先生
大阪大学機能診断科学講座教授

今回ご紹介するMG-ADLとQMGは、多くの臨床試験で用いられてきたMGの評価指標です。一見誰にでもできるもののため、定められた方法とは異なったやり方で行われていることもしばしばで、それが医師間・施設間での違いにつながります。臨床試験ではトレーニングにより評価方法の統一がなされます。これまでその機会が無かった先生、あるいはこれから専門診療を目指す先生に、このビデオをご覧になっていただき、MG-ADLとQMGの標準的な評価方法を学び、今後の日常診療に役立てていただければ幸いです。